パリを代表する場所はと問われれば、ルーヴル宮、オスマン様式建築の街並み、市庁舎前広場など頭に浮かべながら、結局、歩道にテラス席のはみ出したカフェ、と答える。
歴史に果たしてきた役割の大きさ、市民生活に根ざした深さを考えると、やはりカフェだと頷きたくなる。
いつの間にかストックされた写真を少しずつ整理しながら、あらためてカフェについて想いをめぐらせる機会にしたいと思う。
今回はテラス席に焦点を合わせてチョイスしてみる。
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トップ写真は、シテ島のカフェ。ギャルソンの服装を見ても分かるように、いくぶんよそ行きの洒落たカフェ。場所柄、裁判所や行政警察に出入りする人、サント・シャペル教会を見学した人たちがおもな客層なのだろう。
レ・アル地区、かつての中央市場から伸びるモントルグイユ街のカフェ。
7区。リュニヴェルシテ街。典型的なアペリティフの光景。夕食に帰宅するかレストランに行くか、その前にお喋りの花が咲く。
モンマルトルの丘、北斜面コーランクール街は深夜近くのカフェ。
路上どころか、夏には広場にまで広がり出るカフェテラス。1区、ルーヴル街。
パンテオン近く、スフロ街のカフェ。カルティエ・ラタンの学生街に位置して、リュクサンブール公園も近い。
マレ地区のカフェ。自然体にひとときを送る、このひとときがなければとてもやっていけない。都会に暮らす者同士の了解事項と言ってもいい。
店の中からテラス席を写してみる。リュクサンブール公園に面した、狭いながら老舗のカフェ。木々の紅葉しはじめる季節。
これも店の中から。8区マルゼルブ大通りに面したカフェ。
テラス席から見える風景。街並みと街並みを行き過ぎる人びとを見ているだけで飽きない。‥‥これはギャルソンと共有できる視点かもしれない。サン・ミシェルのメトロ前のカフェにて。
ロゼのワインは南仏のイメージ、夏の到来を予感させる。まだまだ肌寒い初春、季節を先取りしようとの想いだろうか。5区モベール広場。
店内全面禁煙だから、タバコを喫えるという利点もあるのだろう。かなり寒い季節でも、頭上に据えられたストーブから熱風の出るテラス席に陣取る客も多い。それでもこういう雪の日はさすがに‥‥。ポルト・ド・ヴェルサイユ。
シテ島の見えるセーヌ沿い左岸。ひとりカフェテラスで何物かを見入る男。仕事の合間か、休日の散歩の途中か、それとも‥‥。見入っているのは、メールで送られてきた仕事上の案件か、出掛けに喧嘩した女房からの最後通牒か、単なる暇つぶしのゲーム画面か‥‥。
カフェテラスも店仕舞。サン・ルイ島にて。