19世紀末パリを舞台に、エドモン・ド・ランベール右往左往のシリーズ、第1弾。
大革命から1世紀、ナポレオンの失脚から70年弱、二月革命から35年、そして普仏戦争の敗北、第二帝政の瓦解、コミューヌの内戦から12年。
1883年パリ。野望と陰謀、欲望と策謀の渦巻くこの「19世紀の首府」で、首相秘書官バサール男爵が刺殺される。
男爵未亡人は遠縁、愛妾は取材相手の女優とあって、落ちぶれ地方貴族の子弟エドモンは、夕刊紙記者という立場で事件に巻き込まれていく。
新興成り金、王党派貴族、アルザス出身の青年、海外で伝道する修道士、パトロンさがしに余念のない劇場関係者たち‥‥。
さまざまな人びとの思惑をめぐり、取材を進めて行くにしたがい、エドモンは何年ぶりかで再会した男爵未亡人の秘められた想いを感じ取る。そして、そこにひとつの物語が浮かび上がってくるのを知る。